HOME > 施工例 > 杉に畏まる~”スギ”にカシコまる~


植栽と家のバランスのとれた造り。その中でも、ひときわ目を惹くのが、玄関を開けてすぐに見える中庭ではないかと思います。
施主と庭師のこだわり、そして家を引き立てる植栽と石畳。自然と目に入ることで、疲れた心も癒されるのではないでしょうか。
造りとしても 広いリビングそして高い天井 壁と天井一面の本物のスギ板
大きく通った四本の丸太梁
直接見える事で家族への優しさと力強さ を感じる事が出来ました。
杉の柔らかさと温もりを感じる邸宅へと完成しました。



                           有限社 建設
                            USHIO.ENSTU。

素朴に強く


 日本と東アジアの建物を見比べたとき、大きな違いに気づく。その色の鮮やかさだ。古来中国や朝鮮半島の建物は、赤などの原色を多用している。これはシロアリなどの虫食いを防ぐために、薬剤として色を塗った事から始まるそうだ。では日本はというと、神社に赤が多い。これは渡来系の関係なのかもしれない。


 しかし、すべて建物はそうかというと、どうも違うようだ。これには大きな理由があるという。日本は高温多湿の気候のため木を切ってもすぐに生えてくる。つまり良質の檜や杉がふんだんに使えるからだそうだ。だから大陸系の赤は必要ない。日本は木を切ったらまた植え直す『植林』という文化を持っているからでもある。


この家には、玄関の脇にモニュメントとして大きな檜がある。その荒々しいまでの美しさは、この玄関から向こうは別の世界ですよと語っている気がする。住人も玄関をまたぐとき、この檜のおかげで、さぞ凛となるんじゃなかろうか。玄関は妻入り。単純になりがちな玄関にこの大檜があることにより、家全体が引き締まって見える。

中庭とリビングの絶妙さ


 玄関を入るとすぐ目の前に中庭が見える。中庭という小空間を持つ事により、光と風を室内へ入れて、快適な住環境を整える。これは日本人が昔から持っていた知恵である。京都の町屋などにある坪庭を想像するとわかりやすいだろう。中庭がありその周りに各部屋が並ぶ。これは日本建築の一つの黄金律ともいえる。その知恵が生かされた家を作る。これは作る我々としても楽しいものだ。その中庭は植栽や石畳が絶妙なるバランスで配置される。このバランスを作り出すのは中々難しいものだ。幾何学的な計算が必要となるからだ。先人はその幾何学的な美しさを作るのに神経を絞って考えてきた。檜といい、中庭といい、この家の庭師の方には頭が下がる。

 玄関から見ると、中庭と廊下を挟んで反対側に太く大きな丸太梁を使ったリビングがある。建築的な観点からすると梁はその寸法が大きくなればなるほど、大きな空間を作ることができる。この丸太梁には、社長自ら山に入り選びに選び抜いた木材を使用しているそうだ。実際、リビングに入るとその天井の高さと質感は圧巻だ。天然の木材を使うことで、ボードや壁紙で装飾された空間とは異次元の気品が漂ってくる。気がつくと、先ほどの美しい中庭から、心地よい風と光がリビングに入ってきて、何ともいえない幸せな気持ちにさせてくれる。